翻訳テクニック集 目次

品詞の転換 (形容詞→動詞)

英文ではさまざまな場面で名詞主導の表現が顔を出します。つまり、英語では名詞 (名詞句・名詞節) を中心にして文を組み立てていきます。

(文1) Modify the input to use an alternate set of driver name and port number.

この英文の構造をそのまま日本語に置き換えると、日本語としておかしな文になってしまいます。

(訳1-1) ドライバ名とポート番号の代替のセットを使用するように入力を修正してください。

inputは入力したものを指すので、明確に「入力内容」と書きましょう。また、setはdriver nameとport numberの組み合わせのことを指しています。「セット」と言われても意味が分からないので「組」に変更してみます。

(訳1-2) ドライバ名とポート番号の代替の組を使用するように入力内容を修正してください。

まだ日本語として変です。

問題は「代替の組 (セット) を使用する」という表現です。言いたいことは分かりますが、日本語でこのような表現はしません (低料金の翻訳の場合は、このような翻訳が大量に出てきます)。「組み合わせ」という訳に置き換えても日本語として不自然なことに変わりはありません。

(訳1-3) ドライバ名とポート番号の代替の組み合わせを使用するように入力内容を修正してください。

英文を日本語に翻訳するときは、英語の名詞句や名詞節を文に読みほどくと、自然な訳文が得られます。代替物を使用するということは変更するということですから、alternate setの意味を動詞に担わせます。翻訳技術としては、alternateの品詞 (形容詞) を動詞に転換するケースです。動詞として「変更する」を使うので、訳1-3の構造のまま (訳1-4)(×) ドライバ名とポート番号の組を変更するように入力を修正してください。 と置き換えるだけでは日本語になりません。to不定詞 (to use...) も訳し下ろします。

(訳1-5) 入力を修正してドライバ名とポート番号の組を変更してください。

文脈が許せば、さらに踏み込んで翻訳することもできます。

(訳1-6) 入力を修正してドライバ名とポート番号の対応関係を変更してください。

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