see (2)

19 2月

(前回から続く)

前回は、以下の文で動詞seeの使い方を見ました。

Asia and Latin America have seen a similar decline in fertility: from 5.9 children per woman in 1950 to 2.5 at the start of the 21st century.

出典: U.S. National Institutes of Health Webサイト (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3987379/)

翻訳を簡単にするために、最初のステップとしてコロンの前までを抜き出して、以下のように翻訳しました。

Asia and Latin America have seen a similar decline in fertility.
(訳2) アジアとラテンアメリカでも同様の出生率の低下が見られた。

この訳2で完成としてよいでしょうか。

着目すべきポイントは、無駄な言葉がないかどうかです。実は、seeは重要な意味を持っていません。冒頭の例文が伝えようとしている内容は、低下を「見た」ことではなく、「低下した」ことなのです。

今翻訳している範囲の中で重要な意味を担っている語句はAsia、Latin America、decline、fertilityです。このように重要な意味を担っている語句を、テクニカル ライティングでは情報語 (information word) といいます。

seeは情報語ではなく、脇役に過ぎません。原文

Asia and Latin America have seen a similar decline in fertility.

は、seeを使わずに書いて

In Asia and Latin America, the fertility has similarly declined.

としても同じことです。seeを使わなくても同じ意味の英文を書けるので、seeを明示的に訳出する必要はありません。後者の英文を翻訳すれば以下のようになります。

(訳3) アジアとラテンアメリカでも出生率が同様に低下した。

すっきりとした自然な日本語訳になりました。訳2では「……の……の……」と助詞「の」が連続していましたが、この点も回避できています。

それぞれの訳文を比較してみてください。

Asia and Latin America have seen a similar decline in fertility.
(訳1) アジアとラテンアメリカも同様の出生率の低下を見た。
(訳2) アジアとラテンアメリカでも同様の出生率の低下が見られた。
(訳3) アジアとラテンアメリカでも出生率が同様に低下した。

訳3が一番読みやすく分かりやすいことは明らかです。

コロンの後も翻訳すれば完成です。

(訳4) アジアとラテンアメリカでも出生率が同様に低下し、1950年に女性1人あたり5.9人であった出生数が21世紀初頭には2.5人になった。

重要な言葉と重要でない言葉を見分け、無駄な言葉を訳文で使わないようにすると、訳文が読みやすく、分かりやすくなります。

(次回に続く)


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