先入観を取り払う (2)

14 3月

(前回から続く)

前回は、文章を読みかけた時点で意味を決めつけてしまう癖が誤訳に直結することと、その癖を学習や訓練によって直せることについて触れました。

例えば、翻訳にはある程度のパターンやセオリーがありますから、その基礎的技術を身につけることで、翻訳のさまざまな側面に意識を向けられるようになります。テクニカルライティングなどの作文技術を学ぶと、文章が伝えようとしている本質を見抜く目を養うことができます。精読・速読・多読というアプローチもあります。

翻訳から先入観を取り除くにはさまざまなアプローチが可能ですが、中でも特に効果的な訓練があります。

それは、直訳すること。

特に、母語でない言語を母語に直訳する訓練が大変効果的です。

この訓練では、原文に忠実な直訳を作ります。自分を捨てて、とにかく忠実に忠実に原文に沿って直訳します。意訳だの創意工夫だのは言語道断。ただひたすらに原文と一対一で対応する直訳を作り続けます。

毎日毎日大量の直訳を続けていると、やがて先入観を持つ癖が抜けていきます。急に視界がクリアになり、今まで自分が霧の中で翻訳していたことに気づきます。翻訳が自由になります。意訳の幅がぐっと広がり、原文を踏み外さずに大胆に冒険できるようになります。

本気で翻訳をモノにしたい人は取り組んでみてください。2年くらい続けると、見違えるほど翻訳が改善されます。

(連載終わり)


有限会社トランスフロンティア
名古屋で通学制の翻訳講座を開いています。詳しくはスクール案内へ。
理工系専門書、IT・電気工学・その他分野の英→日翻訳を承っております。2001年創業以来1000件以上の翻訳実績。お見積もり・お問い合わせはこちらからどうぞ。