助動詞might (2) – (1)

28 3月

英語の助動詞は微妙なニュアンスを伝えます。中には日本人にとって分かりにくいものもあります。そもそも言葉の感覚は人それぞれ違っており、英語を母語とする人であっても人によって感じ方が異なるくらいですから、日本人にとって難しいのも当然かもしれません。こつこつと経験を積み重ねていく必要があります。

助動詞mightはmayの過去形ですが、技術翻訳で出てくるmightが時間的な過去を表すことはほとんどなく、たいていは仮定法から派生した用法です。仮定のニュアンスを帯びているので、mayより低い可能性を表していたり、遠まわしで控えめな表現であったりします。

手元のMerriam-Webster’s Collegiate Dictionaryでは以下のように説明されています。

might
– used in auxiliary function to express permission, liberty, probability, possibility in the past <the president might do nothing without the board’s consent>
or a present condition contrary to fact <if you were older you might understand>
or less probability or possibility than may <might get there before it rains>
or as a polite alternative to may <might I ask who is calling>
or to ought or should <you might at least apologize>
(注: 読みやすくするために意味の区切れで改行しました。)

実際にmightが使われている英文を見てみましょう。

(文1) The administrator password might need to be changed at regular intervals.

助動詞のない文と比較してみます。

(文2) The administrator password needs to be changed at regular intervals.

mightを使わずに正面からneedと言うと、かなり強いニュアンスになります。有無を言わさずに、絶対に変更するように迫ってきます。それと比べると、mightがある場合は柔らかいニュアンスになります。

セキュリティの観点からはパスワードを定期的に変更するべきですから、mightなしで書けばよさそうなものです。しかし、定期的にパスワードを変更するのは手間がかかりますし、入力するパスワードがたびたび変わるのは人間 (ここではadministrator) の精神的な負担も大きいのでしょう。真正面から正論をぶつけるのではなく、mightを添えて角が立たないようにしたと思われます。

次回はmightの翻訳について考えます。


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