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22 2月

(連載第1回はこちら)

前回は、以下の文を例にとって名詞句を読みほどいて翻訳しました。

Asia and Latin America have seen a similar decline in fertility: from 5.9 children per woman in 1950 to 2.5 at the start of the 21st century.
(訳4) アジアとラテンアメリカでも出生率が同様に低下し、1950年に女性1人あたり5.9人であった出生数が21世紀初頭には2.5人になった。

原文の出典: U.S. National Institutes of Health Webサイト (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3987379/)

訳文の語順に注意してください。あえて「同様に」を「出生率が」の後に置いています。「同様に」を前に出して

(訳5) アジアとラテンアメリカでも同様に出生率が低下し、……

と翻訳すると自然な語順になるように感じますが、このように翻訳すると「アジアとラテンアメリカでも同様に」とも解釈できてしまいます。つまり、訳文を読んだときに

Asia and Latin America also have seen a decline in fertility.

の意味に取られてしまう可能性が出てきます。原文はあくまでa similar declineであり、訳文を読んだときに「同様に」は「低下した」にかかると解釈してもらわなければなりません。この係り受けの問題を避けるために、あえて「同様に」を「出生率が」の後に置いています。ただし、前後の文脈から「アジアとラテンアメリカでも同様に」と解釈されても本質的な意味が損なわれない場合は、訳5のように翻訳して構いません。

名詞句の読みほどきは大変効果的な翻訳技術ですが、品詞が変わる (原文の名詞を訳文では動詞にする) ので、うっかりすると、原文に存在しない係り受けが発生してしまうことがあります。十分に注意する必要があります。

(連載終わり)


有限会社トランスフロンティア
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