Hydrogen (Grid energy storage) 翻訳サンプル補足

29 1月

前回掲げた資源 (新エネルギー) 分野の翻訳サンプルを作成するにあたって、訳文を読みやすく分かりやすくするために考慮した事項について触れます。

最初の文は以下のようになっています。

Hydrogen is being developed as an electrical energy storage medium.

原文では「Hydrogen is …」という書き出しになっていますが、これをそのまま

水素は、電気エネルギーの貯蔵媒体として開発されています。

と翻訳してしまうと問題があります。「開発されています」と書くと、現在開発中なのか既に開発が終わっているのかが分かりません。

水素は、電気エネルギーの貯蔵媒体として開発中です。

このように変更すると現在開発中であることが明確になりますが、「……として開発中です」という表現に違和感があります。「開発中」がひとまとまりの名詞であり、

[電気エネルギーの貯蔵媒体として] → 開発中

という修飾関係が頭に浮かびます。「……として」は連用修飾であり、文の意味は

[電気エネルギーの貯蔵媒体として開発] → 中

なのですが、後者の修飾関係はイメージしにくいのです。この違和感を解消するには、

水素は、電気エネルギーの貯蔵媒体として開発が進められています。

とすればOKです。

それでも冒頭の部分が唐突です。文がいきなり「水素は」で始まっています。助詞「は」を「が」に変更するとこの唐突さを解消できます。

水素が、電気エネルギーの貯蔵媒体として開発が進められています。

今度は「……が……が」と稚拙な印象になってしまいました。修正に修正を重ねて迷走している感じです。

この記事で最初に翻訳サンプルとして掲げた訳文ではこの引っかかりも解消しています。翻訳サンプルでは、

            水素が →
電気エネルギーの貯蔵媒体として → 開発が進められています。

ではなく、

電気エネルギーの貯蔵媒体として → 水素の開発が進められています。

としています。

主語のhydrogenを主題の提示と見なすのではなく、

(×) Hydrogen / is being developed as an electrical energy storage medium.

以下のように見ると分かりやすいでしょう。

Hydrogen is being developed / as an electrical energy storage medium.

次回は2文目を見ていきます。

注:
1. 原文は英語版Wikipediaから転載しました。
2. 上記の翻訳サンプルは、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたウィキペディアの項目「Grid energy storage」を素材として二次利用しています。


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